投資家が「お金」よりも大切にしていること/藤野英人

 

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

 

  

 嫁が妊娠したこともあって、そろそろ本格的にお金について考える必要があるなと思っていたところ、会社の制度でファイナンシャルプランナーと面談する機会を得た。「投資家が「お金」よりも大切にしていること」(著:藤野英人)は、その担当者に「お金というものを理解する上でお勧めの本はありますか」という質問の回答として教えて頂いた。

 

 著者は「日本人のお金に対する態度や行動は不真面目である」という。「真面目」という言葉は広辞苑では「真剣な態度・顔つき・本気。まごころがこもっていること。誠実なこと」と書かれており、語源は中国宋代の詩人蘇東坡の「柳は緑、花は紅、真面目(シンメンモク)」という詩である。「柳には柳の色、花には花の色があり、それぞれ固有の美しさや役割がある」という意味で、転じて本質は何かを探る姿勢や態度であるとのこと。お金に対する不真面目さとして、金儲けしているということ=何か悪いことをしているという偏見を自分は持っている。この偏見は日本人の多くが持っているものであろう。偏見の元は清貧の思想であるという。それはヒーロー像にも出ており、アメリカのヒーローはお金持ちの民間人だが、日本のヒーローは公務員である。バッドマンはゴッサムシティの大富豪、アイアンマンは巨大軍需企業の御曹司兼武器商人だが、一方、ウルトラマンは宇宙警備隊員、遠山の金さんは町奉行だ。日本のドラマの主人公が刑事や医者ばかりな訳も分かる。

 

 では、お金に対してどう向き合えばいいのかという話になるが、その前に、エコノミー(経済)の語源がギリシャ語のオイコノミアであることを知る必要がある。オイコノミアは、「オイコス(家)」と「ノモス(法、ルール)」という言葉を組み合わせた言葉で、「共同体のあり方を考える」という意味である。つまり、エコノミーとは、どのように生きたら世の中のみんなで幸せになれるかを考えるということなのである。

日本の国道沿いは「ファスト風土」と言われるように、どの都道府県でもチェーン店とスーパーが立ち並ぶ風景が続くが、それは日本人がそういうお金の使い方をした結果だという。現にイタリアを例に出すと、独自のコーヒー文化があり、スターバックスが1店舗もない(2017年に1号店ができるらしい)。つまり、社会はひとりひとりが使ったお金で創られているのである。

 

 だから、僕も自分が行ったお金の投資または消費が、僕の未来を創っていき、そして、社会にも少しばかり影響を与えることをしっかりと認識した上で、お金と向き合い、家族を幸せにしなければいけないのである。